簿記2級取得をふりかえる
日商簿記2級を取った。資格試験を受けるのは本当に久しぶりで、ちゃんと記憶にあるのは中学生で受けた漢検が最後である(高専に入ってから数検を取って外部単位の足しにしていた気がするが、何級を受けたかすら記憶にない)。ここ数年で TOEIC とかは受けているが、あれは受けるだけなのとそもそも勉強をしていないのでノーカウントとする。
久々にちゃんと勉強して、それなりに達成感があるので記録しておくことにする。なお、あまりきちんと計画を立てず場当たり的に勉強していたのと、途中で忙しくなって勉強をやめたりしているので、真面目に簿記をとりたい人には参考にならない可能性がある。ちゃんと短期間で取っている人たちは厳密にスケジュールを立てているのでそういう人の記事を参考にしよう。
受験理由
就職に必要であったため。
新卒で内定をもらっていた会社の入社条件として日商簿記2級の取得が定められていた。選考や内定をもらう時点では不要なものの、入社するには期限までに取得する必要がある。入社したかったので勉強することになった。
日商簿記について
わざわざこの記事を読んでいる人には不要かもだが、いちおう日商簿記について説明しておく。
そもそも簿記とは
簿記(ぼき、英語: bookkeeping)とは、企業などの経済主体が経済取引によりもたらされる資産・負債・純資産の増減を管理し、併せて一定期間内の収益及び費用を記録することである。より平易な言い方をすると「お金やものの出入りを記録するための方法」である。 簿記 - Wikipedia
「お金やものの出入りを記録するための方法」らしい。
日商簿記とは
日商簿記は、日本商工会議所が実施している簿記の検定。簿記の基礎知識から実務で使える会計理解までを段階的に問う資格として知られている。主要なものとして1級・2級・3級 がある。
各級のレベル感について
今回受けたのは日商簿記2級である。 レベル感については商工会議所による説明に譲る:
経営管理に役立つ知識として、企業から最も求められる資格の一つ。 高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析を行うために求められるレベル。 簿記 2級 | 商工会議所の検定試験
3級はより基本的な内容で簿記の入門という感じ。逆に1級はもっと高度で詳細な内容になり、合格すると税理士試験の受験資格が得られるらしい。
受験形態
統一試験とネット試験がある。
統一試験は TOEIC みたいに、特定の日程で決まった会場に行きみんなと一緒に受けるタイプの試験。いわゆる受験って感じの形式。
ネット試験は駅前とかにあるテストセンターなる施設を予約してパソコンに向かって受ける形式。
ネット試験は基本的に日程が自由で、予約さえできればいつでも受けられる。また試験が終わったら即座に点数が出て合否がわかるなどの特徴がある。受験時間も異なり、統一試験が 120 分なのに対しネット試験は90分である。あと、ネット試験のほうが問題が簡単という話も聞いたことがあるが真偽のほどはわからない。
なんにせよ、日程の融通が効く点と即座に合否がわかるという利便性を踏まえると、統一試験を選ぶ理由はあまりない。今回自分もネット試験で受験した。
戦略と勉強法
戦略
これは簿記2級の対策をするうえで一般的に言われることだが、満点やそれに準ずるスコアを狙いに行くのはかなりコスパが悪い。大問の構成と配点が決まっているので、それをうまく使って合格点を超えるくらいの点数を狙っていくのが定石である。
簿記2級は次のような問題構成になっている:
- 大問1:商業簿記、20点
- 大問2:商業簿記、20点
- 大問3:商業簿記、20点
- 大問4:工業簿記、12点
- 大問5:工業簿記、28点
まず大問1~3が商業簿記の問題で配点は60点、大問4,5 が工業簿記の問題で配点は40点となっている。以下でそれぞれを簡単に紹介する:
大問1は取引の内容が提示され、それに従った仕訳をする問題。4点×5問で構成される。基本的に仕訳のやりかたをきちんと覚えていればよく、応用力などは必要ない。各問が独立しているので連鎖的に失点するということは起こりづらく、仕訳の一問一答をちゃんとやっていれば解けるが、一問4点なので失点するとけっこう痛い。満点を狙う。
大問2,3 は財務諸表を作成するなど応用系の問題になる。これらは解くのに時間がかかるうえ計算ミスによる連鎖的な失点が起こりやすい。そもそも完璧に解こうとせず、埋められる場所を埋めつつ部分点を狙っていく方針になる。解く順番としても最後に持ってきていた。
大問4 は工業簿記の仕訳3問。商業簿記の仕訳(大問1)と同様、基本問題なので失点しないのが重要。満点を狙う。
大問5は工業簿記の計算系の問題が出る。覚えることの多い商業簿記とは異なり、公式を覚えるタイプの問題のイメージ。問題のパターンがけっこうあるが、解き方がわかればあとは計算するだけなので点を取りやすい。ここも満点を取る想定。
すでに一部述べているが、得点源となるのは大問 1,4,5 である。これらで満点を取ると 60点で、合格点まで残り10点となる。方針としては、大問1,4,5 で満点を取り、あとは 大問2,3 で部分点によってもう10点を稼ぐというイメージになる。
教材
会社が用意してくれた教科書と問題集を使った。
滝澤ななみ氏の「みんなが欲しかった!」シリーズ(TAC出版)の一式。3級、2級商簿、2級工簿 の3種類があり、それぞれ教科書と問題集で計6冊。
- みんなが欲しかった! 簿記の教科書 日商3級 商業簿記 第13版
- みんなが欲しかった! 簿記の問題集 日商3級 商業簿記 第13版
- みんなが欲しかった! 簿記の教科書 日商2級 商業簿記 第12版
- みんなが欲しかった! 簿記の問題集 日商2級 商業簿記 第12版
- みんなが欲しかった! 簿記の教科書 日商2級 工業簿記 第9版
- みんなが欲しかった! 簿記の問題集 日商2級 工業簿記 第12版
面倒なので個別にリンクを貼ったりはしない。興味がある人は公式の情報からどうぞ:
「みんなが欲しかった!」シリーズ(TAC出版) – 滝澤ななみのすすめ
これ以外の本を読んでいないので比較とかはできないが、わかりやすくてよかったと思う。模試もついているのでこれらだけで演習まで賄えるのもよい。
いいらしいという噂を聞いて公認会計士たぬきちの YouTube もちょっと見ていたが、教科書のほうがいいなと思い早々に見るのをやめてしまった。
おそらくだけど、自分は動画でのインプットが苦手なタイプなんだと思う。勉強するときはテキストじゃないと頭に入ってこない。(高専時代も、テスト前とかにわからない論点があっても教科書読解だけで頑張っていた。だから何だという話だが、「ヨビノリに助けられた」みたいな理系大学生あるあるに全然共感できないというのがある。ちゃんとした人なのは知ってるが、俺にとってヨビノリはエンタメの人である。)
たぬきち氏の動画のコメント欄を見る限りでは「教科書じゃわからなかったけど動画でわかりました!」みたいな人もいたので相性の問題なんだと思う。
なにをどれくらいやったか
勉強時間はトータル150時間くらいじゃないかと思う。あんまちゃんと時間測ってないのでもっと少ないかもしれない。
内容の内訳としては次のような感じになっている。以下見てもらうとわかるが、けっこう端折っている箇所があるのでこのあたりを参考にするのはおすすめしない。
- 3級 教科書
- 2周くらい読んだ
- 3級 問題集
- 仕訳だけ1周やった
- 他は見てすらない
- 2級 商業簿記 教科書
- トータル3周くらい?
- 問題を間違えたり忘れたりしたら該当箇所を都度復習
- 2級 商業簿記 問題集
- 仕訳だけ2周
- 大問2,3の対策はやってない
- 2級 工業簿記 教科書
- トータルで3周くらい見た
- 2級 工業簿記 問題集
- 全体をトータルで2周
- 忘れやすい問題は個別に追加で解いた
- 模試
- 8種類を1回ずつ、時間を測って解いた
- 間違えたところは復習した
模試は 1→4→5→2と3 の順で解いていた。時計を置いて、各問終了時の経過時間を記録して感覚を掴む訓練をした。
取得までのタイムライン
簿記についての知識はまったくない状態から勉強を始めた。3級の勉強から始め、それが一段落したらそのまま2級の勉強に入った。3級の試験は受けていない。
後述するが、途中で忙しくなって勉強を中断したりしている。 試験はネット試験で2回受けた。一度受けて落ちて、2週間後くらいに再度受けて合格した。
- 2025年3月
- 教材が揃った。ただそのまま放置していて、3級の教科書を空き時間にパラパラ眺めるという程度のことを3か月くらいやっていた。
- 勉強というほどのことはしていない
- 2025年10月
- 2級の勉強を真面目にやり始めた
- 商業簿記は教科書を読んで仕訳をやっていた
- 工業簿記は教科書と問題集を一周ずつやった
- 2025年12月
- 月半ばごろから終了論文を書き、学会準備などをやり始めた結果忙しくなる。そのまま勉強を中断する。
- 2026年3月
- 勉強を再開する
- 商業簿記は教科書を読みつつ仕訳を復習
- 工業簿記は問題集を一周した
- 2026年4月
- 4月中に合格する予定だったので月末に試験を予約した
- 全然間に合わず、模試を1回だけやった状態で受験した(受験1回目)
- 本番形式の演習をほぼやってないので当たり前だが、商工ともに仕訳以外の応用にまったく歯が立たず不合格。30点くらいだった気がする。時間かけてもしょうがないなと思い途中退出して帰宅した
- 2026年5月
- 工業簿記をけっこう忘れていたので本を読んで脳内にインデックスを貼り直した。
- 本番形式の演習を8種類(問題集に付属の6種+ネット版1種+模試1種)を1回ずつ実施
- 間違えたところをパッチ的に復習した。全体通して解き直しはしていない
- 合格点を超えたのは8回中1回のみだったものの、問題のパターンを網羅できた感覚があったので2周目には入らず、そのまま予約して受けに行った
- 月半ばに受験(2回目)し、72点で合格した
苦戦したところ、逆にそうでもなかったところ
時間が足りないのがいちばん大変だった。見直しをする時間はないので、1回で正確に解いていく訓練が必要になる。そういう意味でも、時間を測って模試をやるの大事。
仕訳は意外と細かい論点を忘れて漏れが出やすかったなと思う。ひたすら問題を解いて復習を繰り返す必要がある。やっているとだいたい作問のパターンがわかってきてミスもしづらくなるので、演習量がすべてを解決する。
工業簿記は人によって得意不得意が分かれるという話だったが、俺は得意なタイプだったらしい。覚えることが少なくてありがたかった。問題を解くのもパズルっぽくて好きだったので、商業簿記が嫌になったら工業簿記の問題を箸休めに解いていた。
連結会計について、難しいので丸ごと捨てる人もいるみたいな前評判を聞いていたが、実際やってみると別にそんなには難しくないという印象だった。一連の作業のほうに意味があるので一問一答っぽく覚えることはできないという面倒さはあるが、教科書を読んで問題を解けば何をやっているか理解できるようになる。自分が想定していたほどは強敵じゃなかったので、あんまり身構えないほうがいいと思う。
これから受ける人へのアドバイス
本番形式の演習が大事
俺は模試を一周した時点でいけるやろと思って受けて結果受かったが、普通はもっと何周もやるらしいのであまり参考にしないほうがいい。模試や過去問の演習はやると得点がぐんぐん上がってくので、確信と自信がつくまでやったほうがいいと思う。
環境に慣れよう
ネット試験を受ける場合はその形式に慣れたほうがいい。俺と同じ本を使う人は TAC の Web 模試が1回分できるのでそれをやろう。あと、俺みたいに1回記念受験があるとシステムと設備がわかっている状態で受けれるのでいいかもしれない。
感想
途中でやる気をなくすことがしばしばあり取得が危ぶまれたが、無事に合格できてよかった。
資格試験は嫌だったものの、お金をどう扱うかという話は勉強していてけっこう楽しかった。